3月10日(土)5階講堂で中学校卒業式が行われました。

3月10日(土)、5階講堂で南山中学校の卒業式が行われました。東日本大震災から1年、被災地の方々のご冥福をお祈りし、黙祷を捧げました。
平成23年度第60回長崎南山中学校卒業証書授与式 式辞

例年になく寒さが厳しかった1月2月が過ぎ、時折顔を出す日差しに春の訪れを感じるようになってきた弥生3月、今年もまた見晴らしの良い5階講堂で第60回卒業証書授与式を挙行できますことを心から感謝致します。

41名の卒業生の皆さん、保護者の皆様、ご卒業おめでとうございます。月日の流れは本当にはやいもので、3年前に下の体育館で高校生と一緒に入学式をしたことがつい昨日のことのように感じられてなりません。あの頃はまだ小学生のあどけなさが残っていた皆さんも、この3年の間に見違えるように成長しました。保護者の皆様もきっと、感慨無量の思いで、今日のご子息の晴れ姿を見守っておられるのではないでしょうか。

ご承知の通り、この1年は東日本大震災に揺れた1年でした。ちょうど明日で大震災から丸1年が経ちます。津波の被害や福島原発の放射能漏れの被害など、大震災関連のニュースが報道されなかった日は1日たりともなかったように思います。1000年に一度と言われるほどの未曽有の災害で、3月11日を境に日本の社会は大きく変わりました。

被災地から遠く離れているこの長崎においては、大震災の被害はありませんでした。しかし毎日のように報道される被災地の厳しい状況に、私たち誰もが、「同じ日本で暮らす者として何ができるのか」を考えずにはいられなかったはずです。

この南山においても、学校をあげて募金活動を行なったし、毎年恒例の体育祭や文化祭も被災地の人たちを元気づけようという視点で企画・運営がなされていました。その一方で、たとえ遠く離れていても、同じ日本で自分と同じ年頃の中学生が被災した苦しみや悲しみと戦いながら毎日を一生懸命に生きている姿をテレビや新聞で目の当たりにして、皆さんは「恵まれた環境にある自分たちはもっと頑張らなければならない」という気持ちになったのではないでしょうか。「今自分は何のために勉強しているのか」「将来自分は何をするべきなのか」――大震災をきっかけに自分の果たすべき夢、進むべき道が見えてきているのではないでしょうか。

残念ながら今の私たちには、被災した人たちの肩代わりをすることはできません。しかし、被災を免れた私たちだからこそ、できることはたくさんあるのではないでしょうか。長崎県内においても、かつては長崎の大水害、雲仙普賢岳の噴火・火砕流といったたいへんな災害があり、全国から物心両面にわたってたくさんの支援を受けた経緯があります。ですから今回の大震災を受けて「今度は自分たちが東北の人たちを助ける番だ」という思いで立ち上がった人がたくさん出てきたことはご承知の通りです。このように人と人を結ぶ絆が国内はもちろんのこと、国外にも広がっているわけです。

東北と言えば、秋田の田舎を舞台にしたある映画で主人公のおばあちゃんがこんなことを言っています。「人は人に助けられ、大地に助けられる。人と木々と語り、風を受け入れ、この土地との絆を結べ」(『ハナばあちゃん!! ?わたしのヤマのカミサマ?』より)

いかがでしょうか。この言葉は、私たち人間が自然の恵みを受けながらお互いに支え合って生きることの大切さを、端的に表しているのではないでしょうか。

確かに今回の大震災をきっかけに人と人を結ぶ絆の大切さが見直されてきています。しかし、自然の恵みも忘れることはできません。時には地震、台風、火砕流などで人間に対し牙をむくこともある自然ですが、それ以上に自然が人間に限りない恵みを与えていることは、改めて説明するまでもないことだと思います。また、この言葉は、自分たちが暮らしている街に愛着を持つよう促しているようにも思えます。卒業生の皆さんの多くは、この長崎で生まれ育ったことと思います。皆さんはこの長崎が好きですか。

ご承知の通り、私は秋田の出身ですが、高校卒業後は秋田を離れてしまったので、今や私の人生の中では、この長崎での生活が一番長いものとなってしまいました。でも私は、秋田と同様にこの長崎も第2の故郷としてとても気に入っています。夏の蒸し暑さや台風の直撃は困りますが、食べ物はおいしいし、街並みもきれいで住みよい街です。ですから秋田に帰省する時も長崎に帰ってくる時も同じように「自分の家に帰ってきた」とほっとした気分になります。

皆さんにも是非とも長崎を好きになってほしいと思います。長崎出身でないという人も、少なくともこの3年間は南山があるこの長崎で学校生活を送ってきたわけです。長崎に対して何も感じないということはないでしょう。

確かに15年の人生の内の3年という時間は短いものかもしれません。しかし、今一度思い起こしてみてください。南山で学んだ皆さんにとってこの3年間は、勉学やスポーツをはじめ数々の学校行事で密度が濃い日々の連続であったはずです。だからこそ、思い出がいっぱい詰まったこの長崎をいつまでも大切にしてほしいと思うのです。

皆さんは4月から高校に進学するわけですが、皆さんの高校生活の間にこの長崎では全国規模の大会が2つあります。1つは平成25年の「長崎しおかぜ総文祭」こと第37回全国高等学校総合文化祭、もう1つは平成26年の「長崎がんばらんば国体」こと第69回国民体育大会です。ちょうど皆さんが高2高3の時に開催されますから、皆さんが主力となる大会です。自分たちと縁が深いこの長崎で立て続けに全国規模の大会が開催されるということは、滅多にないことです。きっと皆さんの高校生活は中学以上に思い出深いものになっていくと思います。どうぞこの幸せな巡り合わせへの感謝を忘れず、これまで学んだことをフルに生かして充実した高校生活を送ってください。そして長崎をもっと好きになってください。

最後になりましたが、これまでの3年間、大切なご子息を長崎南山中学校に預けていただいた保護者の皆様に心から感謝致します。皆様におかれましては、今日のご子息の晴れ姿に、これまでの15年間のご苦労が報われた喜びをかみしめておられることと思います。私ども教職員も、この3年間ご子息と共に中学校生活を過ごしてきたことに、大きな喜びと誇りを感じております。

しかし、ご子息の人生はこれからが本番です。ご子息が、今日の喜びを忘れることなく、これからも夢と希望を持って人生を歩み続けることができるよう、変わらぬご支援をよろしくお願い致します。これまで折に触れてお話してきましたが、今年は南山創立60周年の節目です。この節目に当たり2年前から「伸びる南山、伸ばす南山」というブランドコンセプトを立ち上げたことは皆様もご承知の通りです。私ども教職員もこのブランドコンセプトを合言葉に、南山が在校生にとっても卒業生にとってもますます誇れる学校となるよう、一層の努力を重ねてまいります。

今日の晴れの卒業式にあたり、ここにお集まりの皆様一人一人の上に神様からの祝福が豊かにありますように。皆様のご多幸を心からお祈りし、学校長の式辞と致します。

平成24年3月10日 長崎南山中学校 学校長  松本 勝男

 

卒業生の言葉

例年にない厳しい寒さもゆるみ、ようやく春の訪れを感じ始めることができる季節がやってきた今日、私たち三年生・四十一名は晴れて卒業の日を迎えることができました。私たちは今、感激と喜びで胸がいっぱいです。
三年前、まだ着慣れない制服に身を包み、多くの希望と不安抱えながら、私たちはこの男子校である南山に入学しました。一年生の頃は勉強の難しさ、部活動の厳しさに圧倒されました。体格や風格が私たちと全く違う先輩方を目標にして中学生活を送っていったことを今でも覚えています。また、初めての経験が多く、生命の大切さを学んだ田植え体験、みんなと一致団結する楽しさを覚えた体育祭や文化祭、トライ・トレーニング・トゥギャザーのスローガンの基、仲間とゴールを目指した3Tウォークなどはとても楽しく、また、クラスの人と仲良くなれるきっかけにもなりました。
二年生になると、新たに後輩ができ、一年生の時とは違い、より責任感を持って生活しなければならない学年となりました。クラブも本格的にスタートし、一日一日が大変だったけど楽しくて充実していたのを覚えています。また、修学旅行や漁業体験では貴重な体験ができました。特に修学旅行では、韓国の文化に触れることができ、韓国のおいしい料理も食べられ、とても満喫することができました。帰りの船ではみんなではしゃぎ合ったりして、一生の思い出を作ることができました。
先輩たちが卒業して私たちが最高学年になると、一年生や二年生の模範となるような行動が求められるようになり、今まではただ参加し、楽しむだけだった数々の行事も自分たちで作っていくことになりました。体育祭では幟やパフォーマンスの集団行動も自分たちで考えることになりました。自分たちで計画を立てることは大変でしたが、それをやり遂げたときの達成感は別格のものでした。よさこい踊りも、観に来て下さった方たちから盛大な拍手をいただきました。部活動では良い成績だったクラブもあれば、納得いかない結果に終わったクラブもありましたが、それぞれかけがえのない思い出ができたと思います。そして、中総体が終わると高校受験に向けて勉強漬けの日々が始まりました。とてもきつい毎日ではありましたが、今思うと、この時期に頑張っていなければいい結果は出せなかったと思います。
長いようで早かった三年間も過ぎ、とうとうこの南山中学校に別れの挨拶を告げる時がやってきました。私はこの南山中学校に入学し、たくさんの人と出会い、多くのことを学ぶことができました。そして、数々の経験を積んでいくなかで一人の人間として大きく成長できました。たくさんの人に迷惑をかけ、先生方や両親に叱咤されることもありましたが、それでも私を支えてくれたことに本当に感謝しています。
在校生のみなさんはこれから勉強のことやクラブのことなどで悩んだり苦しんだりすると思います。しかし、そういった時間こそ大事にしていけば必ず良い結果が出せると思います。これから南山の歴史を作っていくのは皆さんです。皆さんなら、南山をもっと良い学校に変えていけると信じています。一日一日を大切にして、後悔の残らないように毎日を過ごしていって下さい。私たちは皆さんに南山中学の未来を託し、高校生活という新たなステージに上ります。不安定な政治状況、延々と続く不景気、私たちが社会人となって直面する問題はとても多く、大きいかもしれませんが、その問題を解決するための基礎となるものを高校で学んでいきたいと思います。
最後になりましたが、校長先生、教頭先生をはじめ、今まで私たちを指導して下さった先生方、私たちを学校に通わせるため、毎日汗水流して仕事をし、育ててくれた父や母、その他私たちを支えてくれたすべての方々に感謝しています。 
本当にありがとうございました!

平成24年 3月10日   卒業生代表  尾崎 海斗

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