3月1日(金)第61回高校卒業式が行われました。

3月1日(金)、長崎南山高等学校第61回卒業式が本校の体育館で行われ、245名の卒業生が学舎を後にしました。

卒業生の言葉

肌寒い風が吹きつつも暖かい日差しが私たちを照らす季節になりました。

本日私達、南山高校三年生の門出を祝うためにこのような盛大な式を挙げていただくことに心から感謝申し上げます。

思い返すとあっという間の三年間、様々な経験を通し、人として大切なことを学びながら成長する日々を過ごすことができたのではないかと思います。三年前、桜咲き誇る、上野町の丘を登り、期待と不安に満ちあふれた新鮮な気持ちで入学式を迎えた私たちは、男だけの活気ある校風に戸惑いを抱きながらの高校生活がスタートしました。しかし、この学校で生活していく中で、先生方や先輩方との強い「絆」や、ことを成し遂げる時の「迫力」、そして「団結力」の強さなど、男子校としての魅力を存分に味わうことになります。「自分の限界を超える」ことを目指して勉強に没頭した雲仙合宿。勉強しかないという環境の中で、参加者全員が一日11時間以上机に向かう経験を通して、自分の中に潜み、眠っていた「集中力」と「忍耐力」の存在に気づき、大きな自信を手にしました。また、五泊六日、寝食を共にし、先生方や友人との「絆」が深まった素晴らしい合宿でもありました。「辛さ」や「厳しさ」の中にこそ「充実」があることを学びました。北海道の真っ白な大地に興奮した高校二年生の修学旅行。スキー研修や札幌での班別自主研修が貴重な体験となり、私たちに大きな刺激を与えてくれたのはいうまでもありません。しかし、それ以上に私たちの心に深く刻まれたことは、この修学旅行を常に陰で支えていただいた旅行会社の添乗員、ホテル従業員、スキーインストラクターのみなさんの「心遣い」の深さでした。私たちが気持ちよく過ごせるように、見えないところで大変なご苦労をされていたことを考えると、社会に出て働くことということが、「人の幸せ」を作ることだとあらためて教えられた旅行となりました。そして、南山学園の最高学年である高校三年生としてのこの一年。私たちがこれまでの人生で一番成長できた一年間だったと思います。

優勝を目指し、チーム一丸となり、最後まで戦い抜いた高総体。三年間の思いをぶつけて仲間と一緒に戦う最後の大会でした。ラグビー部、ソフトテニス部の優勝をはじめ、多くの部活が上位の成績を残すことができたのは、私たち三年生にとって大きな誇りです。この南山の部活動で学んだことは、私たちの心と身体に浸透し、人生の様々な岐路で私たちを力強く後押ししてくれるものになるのは間違いありません。三年生、最大の行事は、やはり、生徒会を中心に全校生徒が一つになって創り上げる南山伝統の体育祭です。意見が対立したり、喧嘩したり、うまくいかなかったりの連続の中で、私たちは次第に一つになっていきました。本番は生憎の雨でしたが、学校が一つになり、男子校にふさわしい「迫力」と「気迫」で成し遂げる喜びと達成感を味わうことができました。笑顔いっぱいで、ブロックパフォーマンスや全校応援を成功させた喜びは、今でも忘れることはできません。南山に新たな歴史を刻むことができたと、思います。折しも、今年度は、南山の六十周年でした。この学園の歴史と伝統の重みを、一人ひとりが意識し、先輩方の業績をあらためて認識することができた節目の年でもありました。ラグビー部の花園出場が六十周年に花を添え、これからの新しい南山の始まりを予感させる素晴らしい年になったと感じています。このように、この三年間の充実した高校生活は、まさに「自分を探す旅」でもあったと思います。私自身、自分に何ができるのか、不安を抱きながら、生徒会長やサッカー部主将を務めるなかで、多くの人から相談を受け、頼られる自分と出会いました。頼られる中で将来、人の役に立てる仕事をしたいという思いを強く抱くようになりました。現在、社会は大きな転換期にさしかかりつつあります。政権交代後、デフレ脱却に向けて、明るい兆しも見えてきました。しかし、周辺諸国との領土や歴史認識を巡る摩擦、遅れる東日本大震災からの復興、津波対策。また、原発をはじめとするエネルギー問題など、まだ数多くの問題を社会は抱えています。このような不安定な社会に飛び込んでいく私たちは、様々な問題にそれぞれの立場で向き合っていかねばなりません。そのためには、世の中や社会を変えていく「強い意志」と「情熱」が必要です。歴史に名前を残していった人物はこの「強い意志」と「情熱」を必ず持っています。そして、ことを成し遂げたその影には必ず「自己犠牲の努力」があるのです。社会で必要なものは、今も昔も変わりません。私達は今、新しい扉の前に立っています。一人ひとり扉は違いますがそれぞれが「強い意志」と「情熱」を持ち、努力を怠らずに、私たちは、それぞれの道を歩んでいきます。

さて、話は戻りますが、南山での「自分を探す旅」は決して「甘い」ものではなく苦しいことの方が多かったと思います。それでも、その「苦しみ」や「辛さ」を乗り越えられたのは周りに先生方、仲間、家族がいたからです。在校生のみなさん、是非、この素晴らしい仲間と自分をいつも支え励ましてくれる先生方や家族に感謝の気持ちを忘れず、南山での「自分探しの旅」を続けて下さい。そして、この学園の六十一年目の新たな歴史をみなさんの手で創り上げて下さい。

四月からは、「長崎南山学園リーダーシップ教育」がスタートします。県内、外に誇る南山生徒会の伝統を軸に、一人ひとりが社会の中で活躍できる人材になることを目指す「リーダーシップ教育」は、この南山にふさわしい取り組みとなるでしょう。六十年の歴史と伝統を大切に受け継ぎながら、新しい時代にふさわしい「新生南山」を君たちの手で創造して下さい。君たちなら必ずできると確信しています。

さて、まだまだ、伝えたい思いはいっぱいあるのですが、最後に三年間、熱心に指導し、丁寧に教えて下さった各教科の先生方、様々な面で私たちのお世話をしてくださった事務職員のみなさま、私たちが悩んだときに、多くのアドバイスを授け、励まし続けて下さった担任、副担任の先生。先生方の教えをこれからの自分の人生に活かし、力強く歩んでいきます。本当にありがとうございました。

それから、誰よりも時間を共有し、ぶつかり合いながらも互いに理解しあい「絆」を深めてきた仲間たち。同じ悩みも共有し、助け合い、切磋琢磨してきました。部活のきつい練習もライバルである仲間がいたからこそ乗り越えることができました。楽しく、充実した高校生活を過ごせたのは「仲間」のおかげです。本当にありがとう。そして、この場をかりて最後にお礼を言いたい人・・・。

それは、私をいつも陰ながら激励し続けてくれた父。

太陽のように温かく私の心を包んでくれた母です。

私の前を行く父の大きな背中と、いつも、そっと私を後押ししてくれる温かい母の手があったからこそ、不安やプレッシャーに打ち勝つことができました。2人の目には今の私はどう映っているのでしょうか。三年前、六年前の卒業の時よりも大きく、そしてたくましくなっているでしょうか。

今まで本当にありがとうございました。

私たちは今、私たちを支えてくれた、すべてのみなさんに、感謝の気持ちでいっぱいです。心から感謝の気持ちを込めて・・・ありがとうございました。

これからの長崎南山学園のますますの発展を祈念して、卒業生の言葉とさせていただきます。

平成二十五年三月一日

卒業生代表 山口椋吾

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