平成25年度 第62回卒業式(高校)が行われました。

3月1日(土)第62回高校卒業式が本校体育館で行われました。

高校3年生のみんさん、ご卒業おめでとうございます。

前日の28日には、各賞授与式及び同窓会入会式も行われました。

長崎南山高校第六二回卒業証書授与式 校長式辞

「自分ならではのリーダーシップを追求・実践せよ」

本日ここに、桃山実育友会会長様、吉原昭信同窓会会長様をはじめ、多数のご来賓のご臨席を賜り、第六二回卒業証書授与式を挙行できますことは大きな喜びであり、心から感謝申し上げます。

二五五名の卒業生の皆さん、そして保護者の皆様、ご卒業おめでとうございます。中学と高校があるこの南山で、三年ないし六年の間に積み重ねられてきたたくさんの思い出を胸に本日の卒業式を迎えた喜びは格別のことと思います。保護者の皆様におかれましても、たくましく成長して今日の卒業式を迎えたご子息を感慨無量の思いで見守っておられることでしょう。

皆さんが南山の最高学年として頑張ったこの一年は、昨年度の創立六〇周年を節目に南山が新たな六〇年の歴史の歩みを始めた記念すべき一年でした。これを象徴するものが他ならぬ「長崎南山リーダーシップ教育」の立ち上げです。本来なら高校三年間をかけてじっくり取り組むものですが、これまでの六〇年間南山が培ってきた教育をより分かりやすく目に見える形で示そうとしたものであり、その基本となる部分は、皆さんも高校三年間で知らず知らずのうちに身につけているはずです。

まさに、今年度の努力目標は「リーダーシップ教育」と連動しているものでした。

「セルフ・理想の自分へ グローバル・視野を広げ サーバント・役立つ人に」これが、南山の校訓「高い人格・広い教養・強い責任感」に託されているメッセージをより明確なものにしているということは、折に触れてお話してきたと思います。「セルフリーダーシップ」は「自らを鼓舞し、なりたい自分を主体的に実現させる力」、すなわち「高い人格」のこと。「グローバルリーダーシップ」は「異なる世界の価値観・文化を受容し、自分の考えをしっかりと伝える力」、すなわち「広い教養」のこと。そして「サーバントリーダーシップ」は「自らが規範を示し、周りや組織に奉仕しながら目標を成し遂げる力」、すなわち「強い責任感」のことです。この一年間、皆さんは南山の最高学年として、学校生活の様々な場面で、これらのリーダーシップを余すところなく目に見える形で示してくれました。特にここで挙げておきたいのは、校内においては毎年恒例の「体育祭」での活躍、対外的には「長崎しおかぜ総文祭」での活躍です。「体育祭」は、生徒中心の手作りの体育祭になって一二年目という節目でしたが、一二年目にふさわしい最高の体育祭になりました。準備の段階から当日の運営に至るまで、皆さんが様々な場面でリーダーシップを発揮する姿は、後輩たちの良い模範になったはずです。「長崎しおかぜ総文祭」は「文化部のインターハイ」とも呼ばれる全国規模のイベントで、通算三七回目にして初めて長崎県で開催されたイベントでした。南山からも生徒会のメンバーが中心になって、総合開会式や図書部門大会の運営に活躍しました。縁の下の力持ちとして大会をがっちりと支えた皆さんの働きは周囲から高い評価を受けました。手作りの体育祭の企画・運営で培われてきたリーダーシップが、「しおかぜ総文祭」においても充分に発揮されたのではないでしょうか。このように、南山が目指すリーダーシップは、上に立って組織をまとめる者の力量といった狭い意味の話ではなく、目先の問題解決に率先して当たる積極的態度のことを指しています。ポストや役職に関係なく本来全員が発揮すべきものです。まさに皆さんは、南山での三年ないし六年の学校生活の中でこのリーダーシップの基本となる部分を学んできたと言えるのではないでしょうか。これから皆さんは、進学や就職と、それぞれの道を歩んでいくことになりますが、どこで学ぶにしても、どこで働くにしても、自分ならではのリーダーシップを追求し、それを実践していってほしいと思います。別の言葉に言い換えるならば、自分でなければできないこと、自分だからこそ果たしていかなければならない使命をしっかり果たしてほしいということです。「使命」とは「命を使う」と読むことができます。果たして今の時代を生きている私たちは、自らの命を何に使ったらいいのでしょうか。もちろん、「できないことをできるように努力する」ことも、自分自身が人間として成長していく上で大切なことです。しかし、「今自分にできることを見極め、それを積み重ねていくこと」もまた同じように大切なことだと思います。まさにこれが「自分ならではのリーダーシップの追求・実践」に繋がるのではないでしょうか。人それぞれに持ち味があります。人それぞれに得意とする所、不得意とする所があるからこそ、様々な持ち味を持った人間が集まった社会は豊かになります。自分の短所を悲観してばかりいても始まりません。自分の持ち味を最大限に生かすべく試行錯誤を繰り返していく中で、私たちは自分に与えられている使命に気づいていくのではないでしょうか。繰り返しになりますが、皆さんはこの南山でリーダーシップの基本を身につけたはずです。どうぞ自信を持ってこれからの人生を歩んでいってください。最後になりましたが、保護者の皆様には、これまでの三年ないし六年の間、南山の教育活動に多大なるご理解とご協力を賜りましたことを厚く御礼申し上げます。これからもご子息の母校として誇れる学校であるよう、精進を続けてまいります。本日お集まりの皆様の上に神様からの祝福が豊かにありますように。皆様のご多幸を心からお祈りし、学校長の式辞といたします。

平成二六年三月一日

学校長 松本 勝男

 

生徒会長 卒業の言葉

冬の厳しい寒さも終わりを告げ、まるで私達を後押しするかのように、さわやかな春のそよ風が吹いています。高校生活最後となったこの日に、南山高校三年生255名のために、このような盛大な式を挙げていただけることに、校長先生をはじめ関係者の皆様に心から感謝いたします。思い起こせば三年前、右も左もわからぬまま入学式を迎え、期待と不安を抱えながら私たちの高校生活が始まりました。校舎内、見渡す限り、男子生徒ばかりの衝撃の光景。私達を黄色い声援で勇気づけてくれる女子生徒はどこにも存在しません。しかし、そんな男子校「南山」であったからこそ、学べたこと、築き上げられたことが、たくさんあったのだと今では思うことができます。礼儀作法や挨拶、相手を思いやる気持ちの大切さ。また、仲間との、あつい友情や絆。そして、「リーダーシップ教育」のもと、育まれた「主体性」や「自主性」。私たちは着実に、大人への階段を一歩ずつ登って今日この日をむかえました。日々の勉強の成果を試された定期考査や模擬試験。努力を結果に結びつけることの厳しさを学びました。朝から晩まで本気で勉強という難敵と向き合い、学力のみならず精神力を徹底的に鍛え上げられた雲仙合宿。自分の限界は自分で作り出しているのだという実感を新たにしました。悪天候のため、飛行機が着陸できず、津軽海峡上空を旋回し、あこがれの北の大地を目の前に長崎へ引き返した修学旅行。幾多のアクシデントを乗り越え、目的地を変更し、ようやく辿り着いた北軽井沢の雪景色を見たときの感動は、今でも鮮やかに蘇ってきます。先生方や旅行業者の方のご苦労に感謝すると共に、最終的には、私たちに最高の経験や思い出を作り出してくれた大人の力に脱帽でした。チーム一丸となって優勝に向かって全力で戦い抜いた高総体。勝つことの難しさ、負けたときの悔しさは、私たち一人ひとりの魂に確かな成長の軌跡を残しています。また、私たちの学年には、不思議な巡り合わせもありました。それは、全国高等学校総合文化祭が長崎で開催されたことです。高校一年生の頃から、この「しおかぜ総文祭」に県内の高校生と共に準備にあたりました。そして昨年の夏、素晴らしい文化の祭典を、この長崎で成功させた経験は、関係した私たち一人ひとりの胸に文化の力と、共に生きる感動を深く刻み込んでくれました。このとき、この長崎で、高校生であった一人として、誇りに思います。そして、私たちの心に一番深く刻み込まれているのは、やはり「体育祭」です。生徒主体である南山の体育祭を作り上げていくことは、決してたやすいことではない。これまでの先輩方も、どれほど血のにじむ思いをされてきたのか、あらためて思い知ることとなりました。しかし、ブロックが、学年が、学校全体が一つになりこの体育祭を成功させた時の達成感は私たちにとって一生忘れられない感動的なものでした。何かを仲間と共に創り上げることの喜びは、私たちにとって何物にも代えがたい最高の宝物です。このように、振り返ると、この南山での経験の中で、私たちは社会に飛び立つための「翼」をもらったのだと思います。この「翼」はどんな困難なことでも乗り越えることを可能にし、また、自己の夢や目標を実現させる可能性を秘めた私たちの校章にも描かれている「翼」なのです。これから私たちが飛び出していく社会には様々な困難が立ちはだかっています。東日本大震災から三年をむかえようとしている現在、まだまだ、震災の傷を抱えながら苦しんでいる人々。福島第一原発事故により避難生活を余儀なくされている人々が大勢いる現実を考えると、復興の道のりはまだまだ遠いのが現実です。また、近隣の国とは歴史認識問題や領土をめぐる問題を抱え、不安定な国際情勢が続いています。経済状況にはやや明るい兆しは見えるものの、依然として財政状況の赤字は続き、雇用環境もまだまだ学生にとっては厳しい状況にあります。このような混沌とした時代を、私たちはこの南山で身につけた「翼」を広げ、堂々と生き抜いていかなければなりません。私たちはどんな高い壁が待ち受けていようとも南山で学んだことを活かして挑戦していきたいと思います。一年生、二年生の皆さん、最後まで私たちについてきてくれてありがとう。皆さんには、残された南山学園での生活を大切にしてほしいと心から願っています。勉強や学校行事はもちろんのこと、いま隣にいるクラスメイト、部活の仲間はきっと一生の宝となることでしょう。その仲間と共に、目標を明確に定め、何事にも臆することなく挑戦する人間になって下さい。そして、何よりもみなさんに伝えたいのは、一瞬一瞬の「今」を大切にしてほしいということです。私が今、この三年間を素晴らしい思い出として、また貴重な経験、財産と感じることができるのは、その時、その瞬間を全力で取り組むことができたからだと思います。その時、その瞬間の積み重ねこそが、自分の現在となり、そして自分の未来を作っていくことになるからです。毎日の学校生活の一瞬一瞬を大切にしていくこと。それが、みなさんの明日につながっていくことを絶対に忘れないでほしい、そんな思いを込めて みなさんに、水内喜久雄さんの、次の詩を贈ります。

はずむ いま

いま

ぼくは生きているのだけれど

ほんとうは

明日のためだけに生きているような気がする

大人たちも

明日のことばかり言う

「だから いま がまんしなさい」

って

じゃあ、ほんとうの明日っていつくるの?

ぼくは いま はずんでいる

いま

友達と遊んだり、話したりしたい

いまでしかできないことが

いっぱいあるような気がする

だから、それをたっぷり見つけて

いまを大切にしたい

そうすることが

明日につながる気がするのだけれど

ぼくのはずむこころ

いま 大切にしたい

私たちの「今」を輝かせてくれた、先生方、本当にありがとうございました。時には厳しい指導をいただいたのは、私たちの「今」を大切に考え、そして、私たちの「明日」のために情熱を注いでいただいたのだと、心から感謝しています。常に、そばで私たちを見守ってくださり、私たちが立ち止まったり、悩んだりしたとき、親身になって支えていただいた先生方の愛情を、私たちは生涯忘れません。私たちは、一人の人間として大きく成長し、今日、この日を迎えられたことに、心から感謝しています。本当にありがとうございました。どんなときも私たちを応援し続けてくれたお父さん、お母さん。心から感謝しています。

愛情のこもったお弁当、身の回りのお世話、ときには反抗し、厳しい言葉をぶつけることもありました。私たちのわがままに対し、時には厳しく、しかし、最後には優しく包み込み、支えてもらいました。いつもは恥ずかしくて言えませんが、十八年間、ほんとうにありがとうございました。この三年間多くの時間を共有し、お互いに高め合い、良きライバルであってくれた仲間たち。三年間という短い時間でしたが、この南山で君たちに出会えたことを、心からうれしく思っています。君たちと共に歩んだ、かけがえのない三年間と「友情」は決して忘れません。本当にありがとう。私たちは、今、私たちを支えていただいた、全ての人々に心から感謝の気持ちを込めて、・・・・ありがとうございました。

最後になりましたが、「人間の尊厳のために」という教育目標に基づき、「リーダーシップ教育」のもと、この長崎南山学園がさらに未来に飛躍し、羽ばたいていくことを祈念して、卒業生の言葉といたします。

平成二十六年三月一日 卒業生代表 千北龍太郎

 

 

 

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